第183話ザ・シンガー・アット・ザ・バー

ジョーンはジョンとの通話を切ると、拳を握りしめた。爪が掌に食い込むほど強く。

「オリヴィアの何がそんなに特別なの?どうしてみんな、あんなふうに守るのよ」

「私は彼の妻の座を奪おうとしているわけじゃない。ただ、一度でいいから本物の愛を味わってみたいの」

胸の奥が怨嗟で焼けつく。ジョーンはライアンにメッセージを送ったが、返事はない。あの男、今ごろ何をしているのだか。

一方そのころ、オリヴィアは車の中から、マシューとジョーンが同じ車に乗り込み、走り去っていくのを見ていた。降りて見送りをする気にはなれない。もう二度と、あの女の顔を見たくなかった。

マシューが去った直後、携帯がぶるりと震え、彼...

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