第186話危うい瞬間

オリヴィアが車にはねられそうになったその瞬間、影に潜んでいた護衛たちは、恐怖に息をのんだ。

まさに危機一髪の刹那、すぐ数歩先から背の高い影が躍り出た。彼は彼女の腰を抱き締め、そのまま二人はざらついた路面を転がるように倒れ込む。耳をつんざくブレーキ音が響き、車のバンパーは彼女の頭からほんの指一本分のところで止まった。髪の毛一本分、紙一重で助かったのだ。

オリヴィアの顔は死人のように青ざめていた。呆然としたまま見上げると、そこにはマシューの目があった。瞳の奥に渦巻くのは、焦りと、消えきらない恐怖――彼が彼女を守ったのだ。

運転手が窓を下ろし、怒鳴り散らした。

「何してるんだ!歩道にいろ!」

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