第201章ジャスパーの失踪事件

エバーグリーン病院の特別病棟、その二階はいまだ消毒薬の臭いが鼻を刺し、無菌の気配が重く空気にまとわりついていた。

廊下は静かで、聞こえるのは巡回する医療スタッフの柔らかな足音くらいだった。

ジャスパーの病室の扉の両脇にはボディガードが二人立ち、腕を下ろしたまま、通り過ぎる者一人ひとりに鋭い視線を投げていた。

そのとき、階段室の防火扉がいきなり勢いよく開き、濃色のスーツに身を包んだ男が五人、ずかずかと出てきた。黒い革靴の音が磨き上げられた床に鈍く反響する。

左側のボディガードが即座に前へ出て、腕を伸ばして進路を塞いだ。

「ここは特別病棟だ。入れない」

先頭に立つ男――刈り上げの短髪で...

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