第212話スタンレーの狂気

スカーレットは起爆装置を握りしめた。指先に力がこもり、圧で拳が白くなる。

柱の陰に身を潜め、視線を舞踏会場の入口へ据える。そこにはまだ、表示板に「起動準備完了」と出ていた。ボタンを一度押すだけで、会場じゅうに仕込んだ爆弾が同時に炸裂し、ハワード家の人間は誰ひとり例外なく、彼女の苦しみの代償を命で払うことになる。

まさに押そうとした、その瞬間――視界の端に、見覚えのある影が近づくのを捉えた。

ジェイコブだ! さっき彼女を襲い、動画で脅し、人生を地獄に変えたあの下衆が、ついに姿を現したのだ。

スカーレットは即座に力を抜き、起爆装置を音もなくポケットへ滑り込ませた。まだだ――ジェイコブが会場...

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