第50章危うい瞬間

オリヴィアが首をつかまれ、背後へ引きずられた瞬間、心臓を貫くような恐慌が走った。

だが彼女はすぐに平静を取り戻す。背中越しに伝わってくる力の質が違う。相手は驚くほどの怪力で、間違いなく筋骨たくましい男だ。力でねじ伏せるのは無理だろう。この窮地を抜け出すには、頭を使うしかない。

オリヴィアは即座にポケットへ手を突っ込み、携帯電話に触れた。次の瞬間、路地に警察のサイレンが突如として鳴り響いた。

それは彼女が携帯に組み込んでいた緊急警報システムだった。電源ボタンを連続で五回押すと、端末が警報音を鳴らし、緊急連絡先へ救難メッセージを送る仕組みになっている。

警報が鳴った途端、背後の襲撃者は明ら...

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