第70章オーロラのためらい

スカーレットが自分の名を呼ぶ声を耳にした瞬間、オーロラは身じろぎひとつせず立ち尽くした。まるで彼女の周囲だけ、時間そのものがふっと止まってしまったかのように。

その隣で、アンナは複雑な感情の渦をたたえたままオーロラを見つめていた。瞳には、触れれば火傷しそうなほど生々しい嫉妬と羨望が入り混じっている。

舞台の上では、スカーレットがしばらく前から何度もオーロラの名を呼び続けていた。返事がないことに苛立ちは募り、眉間には深い皺が刻まれていく。

満員の講堂を埋め尽くす生徒の群れの中で、スカーレットの視線は必死に人波をなぞった。だがどこにもオーロラの姿は見当たらない。じわじわと不安が噛みついてくる...

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