第百二章

「理由は言っていなかったわ。とにかく追加されたの」菊江は少し間を置いた。「一度目を通してから決める?」

 念のため、絵里は頷いた。「送ってちょうだい」

 通話を終えると、ほどなくして菊江から電子ファイルが送られてきた。

 ソファに深く腰掛け、ページを一枚ずつめくっていく。

 追加された条項は極めて明確だった。藤原グループの株式三パーセントに加え、六つの不動産。どれもA市の一等地にある。

 ざっと見積もっても、総額で二十億から三十億ドルにはなる。

 絵里は少し驚いた。

 悠太が資産家であることは知っている。藤原グループの時価総額を考えれば当然だ。それでも、ぽんと二、三十億ドルもの...

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