第百八章

正午。

拓海と絵里はレストランの窓際の席に向かい合い、ランチをとっていた。

だが、二人の間には異様なほどの沈黙が落ちている。

拓海が何か口を開こうとした矢先、絵里のスマホが震えた。

彼女は伏し目がちに画面を一瞥し、指先で数回スワイプする。そしてスプーンでスープをすくい、口に運ぼうとした瞬間――またスマホが震えた。

絵里はいっそスプーンを置き、文字を打ち始めた。

拓海はしばらく待ったものの、彼女の手が止まる気配はない。仕方なく、一人で食事を進めることにした。

半分ほど食べ終えた頃、ようやく絵里のスマホが静かになった。

彼女がグラスの水を一口飲んだ隙を突き、拓海はすかさず声をかけ...

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