第百十章

階段の踊り場に立ち止まった絵里は、作業員たちが慎重な手つきで大きな木をリビングの隅に立てるのを数秒間、呆然と見つめていた。

「お母さん、これって……」

振り返った桃華は絵里に気づくと、笑顔で手をパンと叩いた。

「起きたの? 明後日はもうクリスマスでしょ。だから本物のツリーを買ってきてもらったのよ。ほら、嗅いでみて。すごくいい香りがするから」

桃華はツリーに歩み寄り、枝を軽く叩いてから、少し眉をひそめた。

「まだ飾り付けをしてないから、ちょっと殺風景ね。後でイルミネーションやベルを飾れば、きっと素敵になるわ」

絵里も近づいてツリーの前に立ち、その針葉にそっと手を伸ばした。

うん、...

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