第116章

悠太は片手で彼女の背中を支え、もう片方の手で膝裏をすくい上げると、絵里の身体をふわりと横抱きにして駐車場へと歩き出した。

「悠太!」絵里は声を押し殺し、腕の中で身をよじった。「降ろして!」

悠太は彼女を見ようともせず、安定した足取りで進んでいく。二人の身体に舞い落ちた雪は、あっという間に溶けて消えた。

「動くな。落としたらどうする」

絵里は唇を噛みしめ、大人しくなった。

通りすがりの誰かがスマホを取り出し、フラッシュが数回瞬いた。

悠太は気にも留めず、彼女を抱えたまま車に近づくと、助手席のドアを開けて絵里をそっと座らせた。

ドアを閉め、自分も運転席に乗り込んでエンジンをかける。...

ログインして続きを読む