第百四十八章

彼女は振り返り、少し驚いたように目を丸くした。

「まだ残っていたんですか」

重正はふっと笑みをこぼし、立ち上がった。

「一緒に出ましょう」

絵里は頷き、パソコンの電源を落とすと、デスク上のマグカップを手に取って一口飲んだ。

すっかり冷めきっていたが、渇いた喉には心地よかった。

二人が作業室を出ると、廊下は静まり返っていた。青白い照明の下、無人の空間に足音だけが反響している。

「雪見博士、ありがとうございました」

唐突に重正が口を開いた。

絵里は視線を上げ、不思議そうに彼を見つめる。

「先日フライトに出た際、少しトラブルに見舞われまして。あなたが組んだ防御システムに命を救わ...

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