第182章

雪枝が南条家に戻ると、すでに食卓には夕食が並べられていた。

彼女の姿を認めるなり、麻子が慌てて席に着くよう促す。家族全員がテーブルを囲むと、その賑やかな空気に、厄介な悩み事も一時的に忘れられそうだった。

武治と麻子が親戚の冠婚葬祭について話し合う傍らで、雪枝は茶碗を手に静かに箸を進める。荒立っていた心も、いくぶん落ち着きを取り戻していた。

リビングのテレビはつけっぱなしになっていた。控えめな音量でニュースが流れているが、誰も気にかけてはいない。

『――朗報です。全維先鋒はこのほど、S国の逢阪秀信バイオ製薬と戦略的提携を結び、脳神経損傷の特効薬開発を共同で推進していくと発表しました。調...

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