第206章

絵里が顔を上げると、丘の向こうから一人の男が歩いてくるのが見えた。ダークカラーのマウンテンパーカーに、登山用のバックパックを背負っている。

重正だった。

彼は絵里の前に来ると、笑顔を浮かべ、驚きと喜びの混じった声を上げた。

「やっぱり絵里さんだ。遠くから見て似てるなと思ったんですが、まさかこんな偶然があるなんて」

絵里も少し驚いた様子で返す。

「草地さん。どうしてここに?」

「休暇を取りまして。この辺りは景色がいいと聞いたので、少し散策に来たんです」

重正は少し言葉を切ってから、さらに続けた。

「あなたの会社の設立記念パーティー、本当は行くつもりだったんです。でも、上の指示で...

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