第208章

友里恵はそれ以上何も言わず、口元に薄い笑みを浮かべ、うつむき加減で細々とした瓶や容器をいじり続けた。

彼女の胸の内では、すでに様々な妄想が膨らみ始めていた。

自分と拓海が結ばれる可能性など皆無だと分かっている。拓海は彼女のことなど、端から眼中にないのだ。

だが、この重正なら――もし彼を落とすことができれば、一生食べるに困らない。

友里恵は深く息を吸い込み、胸の高鳴りをぐっと押さえ込んだ。

焦っては駄目。これ以上、誰にも悟られてはいけない。

一方、雪枝は食材の準備をしながら、買っておいた牛肉を車載冷蔵庫に入れたままだったことをふと思い出した。

立ち上がり、手についた油汚れを軽く払...

ログインして続きを読む