第213章

絵里が手を拭き、口を開きかけたその時、直人が彼女の袖をきゅっと引っ張り、拒絶を封じた。

「ママ、だーいすき。だから一緒に行ってよぉ」

甘ったるく、語尾を間延びさせた声でねだる。

絵里はちらりと悠太へ視線を向けた。

当の悠太は、直人の言葉など聞こえていないかのように、静かに食事を進めている。

絵里は視線を戻し、結局こくりと頷いた。

直人は椅子から飛び跳ねんばかりに喜び、絵里の腕に抱きついて「ママ最高!」とはしゃいだ。

食事が終わり、三人はレストランを後にした。

ロビーでは、ちょうど会食を終えた武治の一行が出口へ向かっているところだった。

武治の隣に立つ五十代ほどの男が悠太の姿...

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