第31話

研究室の宿舎に戻った絵里は、明かりをつけず、窓から差し込む微かな光を頼りに窓辺へと歩み寄った。

夜風が冷気を孕んで吹き込んでくるが、心にのしかかる重苦しさを吹き飛ばしてはくれない。先ほどの騒動やネット上の暴露記事は一応の決着を見たものの、払拭しきれない暗い影となって、彼女の胸の奥に澱のように沈殿していた。

そのとき、ふとあることが脳裏をよぎった。

ボイスレコーダーだ。

そうだ、直人のリュックに入っていたボイスレコーダーだ!

絵里はついに合点がいった。ネットの暴露記事がなぜあそこまで詳細だったのか。彼女がいくつの投資機関と接触したかまで把握されていたのは――あの数日間、直人がずっとそ...

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