第44話

幼稚園のある通りを抜けると、絵里はようやく少しだけ息をつくことができた。

どこへ向かえばいいのかも分からず、ただ機械的にハンドルを握り、行き交う車の波を縫って走る。

突然、スマホが震えた。

ラボの緊急連絡先からだ。

絵里はすぐさま通話ボタンを押した。

「雪見博士、大変です!」

スピーカー越しに、悟の焦燥しきった声が飛び込んでくる。

「ラボの機材がトラブルを起こして、どう調整しても駄目なんです。六号サンプルは今が一番の正念場なのに、このままじゃ全部パーになります!」

絵里の瞳孔がキュッと収縮した。

六号サンプルは、橘グループと共同で進めているプロジェクトの中核だ。チームが丸四...

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