第53話

視線がぶつかり、互いにふっと動きを止めた。すぐには反応できなかった。

絵里はまだタオルを手にしていた。濡れた長い髪が肩に散らばり、毛先から滴る水滴が寝間着の襟元を濡らしている。

乳白色のシルクのバスローブ。腰の紐はゆるく結ばれ、華奢なウエストのラインをなぞっていた。

湯上がりの肌はほんのりと桜色に染まり、温かみのあるオレンジの照明の下で、柔らかな光のヴェールを纏ったように見える。

悠太がドアの前にいるとは、思ってもみなかった。

悠太の視線が彼女に向けられ、五秒も経たないうちに逸らされ、傍らの床に落ちる。

その深い瞳の奥で何かが一瞬だけ瞬いたが、あまりに早く、それが何なのか見極める...

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