第54話

朝の光が車窓から差し込み、冬の寒気を和らげている。

絵里は後部座席に座っていた。その横にぴったりとくっついた直人が、小さな手で彼女の指をぎゅっと握りしめながら、幼稚園での出来事を興奮気味に話している。

「ママ、昨日ね、クラスで飼ってるウサギに赤ちゃんが生まれたんだよ! 三匹も! すっごく可愛いんだから!」

直人は身振り手振りを交え、目を輝かせた。「先生が名前をつけていいって言うから、僕、空母と巡洋艦と駆逐艦にしようと思うんだ」

絵里は思わず吹き出した。「ウサギさんの名前にそれは、ちょっと合わないんじゃないかな?」

「そんなことないよ!」直人は胸を張って言い返す。「大きくなったら、ウ...

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