第57話

絵里は手早く荷造りを済ませた。

身軽な旅には慣れている。数着の着替えとスキンケア用品、それにノートパソコン。持ち物はたったそれだけだ。

翌朝早く、彼女は研究室の向こう数日間のスケジュールを悟に送り、プロジェクトの進行をしっかり管理するよう念を押した。

すべての引き継ぎを終えてから、ようやく家を出て本家のミニバンに乗り込んだ。

こうして、一族総出の賑やかな旅が始まった。

飛行機が離陸する時、直人は絵里の手をぎゅっと握りしめ、小さな顔を強張らせていた。

「ママ、飛行機ってお空飛ぶとき、落っこちない?」

その声には微かな緊張が混じっている。

絵里は彼を見下ろし、優しくなだめた。

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