第61章

「お客様?」

絵里はカードを受け取り、開いた。

カードには手書きで一行だけ書かれていた。見慣れた筆跡だ。

『ちゃんと食べろ。――悠太』

絵里はその文字を見つめ、カードを持つ指に少しだけ力を込めた。

悠太。

彼がどうして突然……。

彼女はドアの前に立ち、ワゴンいっぱいに並べられた料理を見つめながら、複雑な思いを抱いていた。

悠太と結婚して五年になるが、彼がこんなことをしてくれたのは初めてだった。わざわざ食事を注文してくれるどころか、彼女が風邪で熱を出した時でさえ、自分から水一杯持ってきてくれたことなどなかった。

なぜ今日に限って、突然彼女の食事など気遣うのか。

遊園地で彼女...

ログインして続きを読む