第66章

あっという間に、静香の誕生日当日を迎えた。

雪見家の古い屋敷は郊外の山の中腹に位置している。藤原家の実家ほど広大ではないにせよ、十分な風格を備えていた。

今日は静香の傘寿の祝い。招待客の車が次々と敷地内へ滑り込んでくる。

絵里は朝早くから到着していた。

母屋の玄関前に立ち、続々と訪れる客を出迎えている。

午前十時頃、一台の黒いベントレーが屋敷に入ってきた。

悠太が車を降りた時、絵里は遠縁の親戚と談笑していた。視界の端に見慣れた人影を捉えたものの、そぶりも見せずに親戚との挨拶を続ける。

直人は父親の後ろに続き、小さなスーツに蝶ネクタイを締め、その幼い顔には少し居心地の悪そうな色を...

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