第68章

同様に、悠太の顔にも一切の感情は浮かんでいなかった。

先ほど彼が献上した山水画を、静香はろくに一瞥もせず、使用人に片付けさせてしまった。

静香が未だに彼を快く思っていないのは明白だった。

彼はそれ以上媚びを売ることはせず、良一の方へ向き直り、わずかに顎を引いた。

「新中教授」

良一は絵里と談笑していたが、その声にただ淡々と「ああ」とだけ返し、応酬とした。

悠太は気を悪くした様子も見せず、静かに頷いて傍らへ退いた。

その場にいる客たちは皆、海千山千の者ばかりだ。この一幕を目の当たりにして、それぞれ腹の内で密かに計算を巡らせていた。

数分も経たないうちに、雪見家でのこの出来事は南...

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