第73章

藤原家の実家。リビングのソファにうつ伏せになった直人は、小さな顔に不満をありありと浮かべていた。

手にはタブレットを握っているものの、遊ぶ気など少しも起きない。チラチラと玄関を盗み見ては、スマホをいじっている悠太へと視線を移す。

「パパ」とうとう堪えきれずに口を開いた。「ママ、今日はほんとに帰ってくるの?」

悠太は画面から視線を外し、息子を一瞥した。

「仕事が忙しいんだ」

直人は途端に唇を尖らせた。

「また仕事」と、ぶつぶつ文句を言う。「いっつも仕事ばっかり」

悠太はスマホを置き、何かを思い当たったように直人を見つめた。

「お前、またママを怒らせたのか?」

直人は即座に首を...

ログインして続きを読む