第七十五章

研究室の宿舎は、煌々と明かりが灯っていた。

絵里はデータ処理を一段落させると、酸っぱくしょぼつく両目を軽く揉んだ。

スマホの画面がふいに点灯する。悠太からのメッセージだった。

『明日、直人の保護者会だ。九時開始』

絵里は一瞥しただけで、無造作にフリック入力する。

『時間ない』

送信するや否や、スマホをマナーモードにして傍らに放り投げ、再びデータに目を落とした。

一方、藤原家の自宅では、直人がソファに寝そべってタブレットで遊んでいた。悠太がスマホを置くのを見て、顔を上げる。

「パパ、ママなんて?」

悠太の口調は淡々としており、何の感情も読み取れない。

「ママは仕事が忙しいか...

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