第78章

部屋に一瞬、静寂が落ちた。

悠太は彼女を見つめていた。その深い瞳からは、いかなる感情も読み取れない。

しばらくして、彼は答えた。

「また今度にしよう」

また、これだ。

絵里は彼を見つめ返し、眉をひそめた。

だが追及はせず、ただ俯いてスープを口に運んだ。

スープはまだ温かく、口に含むと少し塩気が強かった。

彼女は一口、また一口と飲み進める。まるで、こなさなければならない任務を遂行するかのように。

悠太は立ち上がり、椅子の背に掛けられていたスーツのジャケットを手に取った。

「仕事に行ってくる」

扉が静かに閉まる。

部屋は再び静まり返った。窓の外から、時折鳥のさえずりが聞こ...

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