第79章

会議を終え、蒼天生命科学研究所のビルから出た直後、絵里のスマホが鳴った。

「外で待ってる」悠太の声は相変わらず平坦だった。「話がある」

絵里が顔を上げると、案の定、見慣れた黒のベントレーが路上のパーキングスペースに停まっていた。

特に何も考えず、歩み寄って助手席のドアを開け、乗り込む。

車はゆっくりと車列に合流した。

車内はひどく静かだ。

悠太は前方に視線を据えたままハンドルを握り、口を開かない。

絵里もまた、窓の外を飛ぶように過ぎ去る街の景色を眺め、沈黙を守っていた。

彼が話したいことは、離婚に関することだろう――そんな予感があった。

だが、しばらく待っても、隣の男は一向...

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