第92章

直人は花冠を受け取ると、背伸びをして、そっと絵里の頭に載せた。

漆黒の髪にピンクの花びらが映え、ひときわ美しく見える。

彼は二歩下がって小首を傾げると、手を叩いて笑った。

「ママ、すっごく綺麗!」

絵里は彼を見下ろし、淡々と言った。

「ありがとう」

直人の笑顔が、ふっと止まった。

ママの「ありがとう」が、以前とは違うことに気づいたのかもしれない。

以前なら、しゃがみ込んで彼を抱きしめ、頬にキスをして「ありがとう、直人」と言ってくれたはずだ。

けれど今のママは、まるで他人に接するかのように、ただそこに立っているだけ。

何か言おうと口を開きかけたとき、マイクを持った先生が運動...

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