第97章

雪枝は進み出て、上品な笑みを浮かべた。

「五条叔父さん。私などほんの少し嗜む程度ですが、よろしければ一局いかがでしょうか」

宏樹は意外そうに目を瞬かせた。

「若いのに度胸があるのはいいことだ。お嬢さんは?」

雪枝は品よく微笑む。

「雪枝と申します。藤原グループの者です」

彼女は宏樹の隣に腰を下ろし、白番を受け取った。

重正は彼女を一瞥しただけで何も言わず、最初の一手を指した。

雪枝はほとんど考えることなく、即座に応じた。

二人のチェスのスタイルはまるで違っていた。

重正は重厚で老練。一手一手を深く考え抜いてから動かす。対する雪枝は鋭く果断。飛ぶような速さでピースを進め、じ...

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