第98章

重正が歩み寄り、軽く会釈した。

「雪見さん。以前、お会いしましたね」

絵里もこくりと頷き返す。

「草地さん」

真登は少し驚いたような顔をした後、さらに相好を崩した。

「顔見知りとは好都合だ。お若い二人なんだ、これからはもっと親交を深めるといい」

意味深長な言葉だった。その場にいた誰もが、真登が絵里と重正をくっつけようとしているのだと察した。

少し離れたところに立っていた晃は、一瞬だけ顔を曇らせたが、すぐに元の表情に戻り、平静を装った。

絵里は真登の言葉には真っ向から応じず、ただ淡々と返した。

「ええ」

祝賀会がお開きになり、客たちは次々と帰路についた。

絵里は晃に別れを...

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