第12章 抱いて眠りたい

 寝室のドアが閉まる。オリヴィアは髪をタオルで拭きながらベッドへ向かい、鏡の中の自分と目が合った。

 腫れた唇――ルカに噛まれた痕。

 脳裏に、怒りを孕んだあの青い瞳がよぎる。

 離婚したいと言い出したのはルカだ。頭の中はウェンディでいっぱいのくせに、どうして私にキスなんてするの。

 オリヴィアは唇を強くこすった。けれど、肌に染みついた気配は、どうしても拭い去れない。

 そのとき、寝室の扉が不意に開いた。

 鏡越しにルカの姿が映り、オリヴィアは息を呑んで振り返る。

「ここは私の部屋よ。出ていって!」

 ルカは何も言わず、大股で近づくなり彼女の腰をきつく抱え込んだ。

「な、何...

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