隠した妊娠がバレたら、CEOの元夫が後悔し始めた

隠した妊娠がバレたら、CEOの元夫が後悔し始めた

ミサキ · 連載中 · 605.9k 文字

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紹介

結婚して3年、夫のルカは一度も私を抱かなかった。

彼の心にいるのはただ一人。私からすべてを奪っていく腹違いの妹、ウェンディだ。
私の誕生日の夜、夫は私の帰りを待たず、妹のダンス大会優勝を祝っていた。
彼女が海外から戻るやいなや、私は会社を追い出され、その椅子は妹のものになった。

――だから離婚の当日、私は彼を激しくベッドへ押し倒した。
愛なんていらない。ただ、あの泥棒猫に極上の“中古品”を払い下げてやるために。

それだけで終わるはずだったのに、まさか一発で妊娠してしまうなんて。

――

ルカは、妻のオリヴィアを愛したことなどない、はずだった。
けれど離婚届にサインした瞬間から、彼女はまるで別人のように色鮮やかに変わってしまった。

これほどまでに妖艶で、目を離せないほど魅力的な女性だったのか。
気がつけばルカは、元妻への抑えきれない独占欲と、唇を奪いたい衝動に狂わされそうになっていた。

だがある日、彼女は忽然と姿を消す。
もぬけの殻となった部屋で、ルカは一度きりとなったあの情熱的な夜の記憶に引きずり戻されていた。

……俺の妻は、今どこで誰に抱かれている?
失って初めて知った愛の渇きに、大富豪の理性がじわじわと崩壊していく――。

チャプター 1

 夜も更け、時計の針は十二時を指していた。

 オリヴィアはぼんやりと食卓に座り、卓上にはすでに冷えきった料理が並んでいる。

 テレビには夫のルカが映っていた。ウェンディの優勝を祝う場面だ。ダンス大会のチャンピオン――その栄冠を。

 普段は表情の硬いルカが、今夜ばかりは柔らかい顔をしていた。ウェンディに向ける湛えた青い瞳には、惜しげもない甘さが滲む。

 画面がそこで静止し、レポーターは気の利いたテロップを添えた。フェテル家社長、恋人を全力で祝福――二人は間もなくゴールインか。

 オリヴィアは凄然と笑った。ルカが帰ってこない理由は、結局それだ。ウェンディのそばにいたのだ。

 三年。どれほど努力しても、ルカの態度は冷たいままだった。なのにウェンディの前では、あんなにも根気よく、あんなにも優しい。

 思考がまだ遠くへ流れきらないうちに、玄関の開く音がした。

 十二時二十分。ルカがようやく帰宅した。

 広い肩、締まった腰、長身に長い脚。湛えたブルーの瞳は、海みたいに冷たく深い。

 彼は食卓のオリヴィアを視界に入れていないかのように、まっすぐソファへ行き腰を下ろした。

 オリヴィアは立ち上がる。

「お風呂、沸かすね!」

「待て」

 ルカがこちらを見た。

「話がある」

 嫌な予感が背筋を撫でる。

「オリヴィア、離婚しよう」

 言い切った瞬間、胸の奥に形容しがたいものが沈んだ。

 三年の結婚は、彼にとってもオリヴィアにとっても拷問だった。そろそろ終わらせるべきだ。

 ルカは用意していた離婚協議書を差し出す。

「もともと両家の政略結婚だ。お前は俺が好きじゃない。俺もお前が好きじゃない。これ以上一緒にいても幸せになれない。離婚が一番いい」

 言葉を切り、目を伏せたまま続ける。

「ただし、来月に一族のパーティーがある。終わってから手続きをしろ。ライナスが最近体調を崩してる。余計な心配はかけたくない」

 ライナスはルカの祖父だ。

 オリヴィアは書類を受け取る。すでに署名されたルカの名が目に刺さり、悔しさと怒りが込み上げた。

「ウェンディのせい? 私と離婚して、あの子を迎え入れるつもり?」

 ルカは一瞬固まり、眉をひそめる。

「くだらないことを言うな。ウェンディは俺にとって妹だ」

 妹? 血のつながりもないのに。

 しかもウェンディは、オリヴィアにとって父違いの妹だ。

 父が愛人を作り、母は怒りのあまり彼女を連れて家を出た。

 人生の底で出会ったのがルカだった。十年もの間、密かに恋をした。

 交わるはずがないと思っていたのに、ライナスが彼女を「ルカの妻」に選んだ。

 全身全霊で愛せば、いつか伝わると信じていた。

 けれど三年。彼女の行動も感情も、すべてが笑い話だった。

 ルカが愛しているのは、最初から最後まで――父が外に作った私生児。

「妹だなんて、ただの言い訳でしょう。汚い関係を隠してるだけ。私にウェンディの席を空けろってことじゃない!」

「オリヴィア!」

 ルカの声が鋭くなる。

「お前も女ならわかるはずだ。名声が女にとってどれだけ大事か。頼むから少しは善良でいろ。これ以上ウェンディの評判を落とすようなことを言うな」

 争う気はないというように、ルカは立ち上がり、ソファの背に掛けていたスーツの上着を掴んで歩き出した。

「残りは弁護士を寄こす。財産の条件は弁護士に言え。できる限り応じる」

 オリヴィアは拳を握りしめ、そして――玄関へ向かう背中を追った。

「今ここから出ていくなら、今すぐ記者に電話して、あんたが不能だって言いふらしてやる!」

 ルカがはっと振り返る。瞳に火が宿る。

「俺がいつ不能になった」

 胸が裂けるほど痛いのに、口は止まらない。

「三年も結婚して一度も抱かなかった。不能じゃなきゃ何なの?」

 歯ぎしりするほどの怒りがルカを満たす。

「オリヴィア、金ならできる限り用意するって言っただろ。何が不満なんだ」

 オリヴィアは怒りを押し込み、声を無理やり平らにした。

「……もういい。ごはん、食べよう」

 あまりにも急な態度の変化に、ルカが眉を寄せる。

「今度は何を企んでる」

「三年夫婦だったの。私と一回食事するくらい、できない?」

 オリヴィアはキッチンへ入った。

 十分後。湯気の立つスープと、こんがり焼けたパンを二枚、テーブルに置く。

「昨日、あなたの誕生日だった。まだ遅くないよね。ルカ、誕生日おめでとう」

 ルカは長いこと彼女を見た。深い青の瞳が、複雑に揺れる。

 オリヴィアは笑う。

「毒でも入ってると思ってる? 小心者」

 挑発に弱い男だ。ルカは無言でカトラリーを取る。

 オリヴィアは微笑んだまま見つめ続けた。ルカがすべて食べきり、やがて焦点が曖昧になっていくのを。

「……何を入れた」

 ルカが最後の理性で問う。

 オリヴィアは立ち上がり、その膝にまたがった。

「夫婦の義務を果たしてもらう」

 三年間、性生活ゼロ。

 離婚するなら、せめてこれまでの屈辱を取り返す。

 ルカを抱く――ただそれだけ。

「正気か……!」

 ルカの目に凶気が滲むのに、息は熱く乱れていく。

 オリヴィアは構わずネクタイを解き、喉仏に唇を落とす。

 堪えきれない呻きが漏れ、ルカは反射的に女の腰を掴んだ。

 キスは下へ下へと流れ、ベルトに指がかかった瞬間――ルカが彼女を抱き上げる。

 抵抗の声は乱暴な動きに呑まれ、服が引き裂かれる感触だけが残った。

 悲鳴を上げる間もなく、男は深く、容赦なく突き入ってくる。

「自業自得だ」

 肩口に噛みつかれ、胸を大きな手で掴まれた。腰の動きは容赦なく速く、熱に溺れるしかない。

 一時間後。ようやく二人は離れた。

 オリヴィアは震える身体で起き上がる。

「下手ね、ルカ」

 身体はまだ小刻みに揺れているのに、嘲りだけは捨てなかった。

 男がそれを許すはずがない。ルカは彼女を引き戻し、押さえつける。

「さっきベッドで俺に縋ってたのを忘れたか。思い出させてやる」

 オリヴィアはルカの手を叩き払った。

「あなたの可愛いウェンディに申し訳なくないの?」

 その名が出た瞬間、ルカの動きが止まる。

 オリヴィアの胸が、ぐさりと刺された。彼の顔を見上げ、吐き捨てる。

「ルカ、最低」

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