第29章 こっそりキスする

「エレナ、私。オリヴィアよ」

 オリヴィアの声は柔らかく、どこか笑みを含んでいた。

「オリヴィアさん!? まさかあなたからだなんて! 何年ぶり? ルカと結婚してから、あの人はあなたに優しくしてる? 子どもは? いるの?」

 矢継ぎ早の質問。オリヴィアの暮らしを本気で気にかけているのがわかる。

 けれど――離婚が目前だなんて、どう言えばいい。

「うん、元気にしてる。今日はね、ちょっと聞きたいことがあって。もし都合がつくなら、時間を作って会えない? そんなに長くは取らせないから」

「もちろん! いつでも大丈夫よ。場所だけ送って」

 即答だった。

 オリヴィアは胸の奥の力がすっと抜...

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