第32章 レストランで食事する

 唇に残る熱が、まだ引かない。

 オリヴィアはルカの腕の中に閉じ込められ、押し寄せる男の匂いと圧に、ただ呆然とした。

 医務室の空気が、じわりと艶を帯びていく。

 ――ぐぅ。

 不意に腹の虫が鳴った。

 オリヴィアは慌ててお腹を押さえ、勝手に頬が熱くなる。

 朝からほとんど口にしていない。だから、こんなところで正直に鳴ってしまったのだ。

 ルカは一瞬きょとんとしたあと、こらえきれないように笑った。

 困って赤くなっているオリヴィアは、さっきまでの刺々しい態度と別人みたいで――妙に、生き生きして見えた。

 ……可愛い。

 浮かんだ感想に自分でぎょっとして、ルカは腕を解いた。...

ログインして続きを読む