第36章 子どもを産ませたい

 来訪したのは、ライナスの側近の執事だった。

 執事は恭しく微笑み、頭を下げる。

「ライナス様が奥様に、屋敷へお越しいただきたいと。お話があるそうでございます」

 オリヴィアの胸の奥に、ひやりとしたものが落ちた。けれど理由までは掴めない。

 前回、屋敷へ行ったときは――祖父の前で、必死に仲のいい夫婦を演じた。

 まさか、見抜かれていたのだろうか。だから改めて呼び出して……?

 オリヴィアは内心を隠し、探るように尋ねる。

「おじいさまは……どんなご用だって?」

 執事は意味ありげに口元だけを緩めた。

「私めからは申し上げかねます。ただ、奥様がいらっしゃればおわかりになるかと」...

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