第37章 離間の計

 ウェンディが身にまとっているのは、私がいちばん気に入っているブランド――しかも今年の最新作だった。

 タグはまだ付いたまま。買ってから一度も、惜しくて袖を通せていない。

 それを、彼女は平然と着ている。

 しかも手には、私がいつも身につけているスカーフまで。

「……何してるの?」

 オリヴィアの声は、我ながら棘だらけだった。

「誰の許可で、人の服に触ってるの。勝手にクローゼット開けて……」

 ウェンディは、いかにも無垢そうな顔をつくる。

「オリヴィア、聞いて。うち、水道が破裂しちゃって……服も全部びしょびしょで。ルカが『先に来て、オリヴィアのを借りろ』って」

 彼女はスカ...

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