第63章 一家族

 祖父は深く息をついた。

「退職の件は、ちゃんと話し合おうじゃないか」

 それからすぐに、本題へ入る。

「君もわかっているだろう。フェテルグループのプロジェクト部は、君抜きでは回らん。何十億もの案件だ。誰にでも背負える仕事じゃない」

 ライナスはそこで一拍置き、声音を少しだけ和らげた。

「意地を張って辞めるな。わしはな、君がルカと一緒にフェテルグループをもっと大きくしていく姿を、まだ見ていたいんだ」

 オリヴィアはソファにもたれ、窓の外の木々を見つめた。

 胸の内は、ひどく複雑だった。

 踏みとどまることを考えなかったわけじゃない。

 けれど、ルカの露骨な肩入れと、ウェンデ...

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