第9章 別の男と食事している

 オリヴィアは頭の中がぐちゃぐちゃのまま、三階の廊下の突き当たりへ向かった。

 診察室の前で立ち止まり、控えめにノックする。

「どうぞ」

 中から、穏やかな男の声が返ってきた。

 オリヴィアはドアを押し開ける。明るい個室には細長いデスクが一つ。机上にはカルテの束とパソコンが置かれている。

 デスクの向こう側では、医師の顔がモニターに隠れて見えない。見えるのは、汚れひとつない白衣の肩口だけだった。

 カタカタ、と指がキーボードを叩く音。何かを記録しているらしい。

 オリヴィアは軽く咳払いをして、緊張を押し殺した声で切り出す。

「先生、オリヴィアです。私の状態、看護師さんから少し...

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