第95章 出会い

 オリヴィアの胸が、わずかに揺れた。クララ夫人の会社は、確かに多くのデザイナーが憧れる場所だ。

 けれど――彼女はもう、自分で会社を立ち上げると決めている。ここで揺らいではいけない。

「お心遣い、ありがとうございます。クララ夫人」

 オリヴィアはまっすぐに頭を下げ、誠実に言葉を選んだ。

「今は自分の計画がありまして、就職は考えておりません。ただ、今後もしお仕事でご一緒できる機会があれば、そのときはぜひ」

 クララ夫人の顔に、ほんの一瞬だけ残念そうな影が差す。それでもすぐに頷いた。

「いいのよ。若い人が自分の意思を持っているのは、素敵なことだわ」

「これ、私の名刺。何かあったら連...

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