第102章

美月はスマホを握りしめたまま黙り込んだが、薄々勘づいていた。

「香織よ」

亜紀はその二文字を、硬い骨でも噛み砕くかのように強く発音した。

「半月以上も前から駆けずり回ってたらしいわよ。メニュー選びから席次決め、招待状のデザインまで全部自分でやったって」

「浅野家の親戚連中もこぞって褒めそやしてるみたい。『森下さんは本当に有能だ』『森下さんは気が利く』『浅野家に森下さんがいてくれて幸せだ』ってね」

「今回はもう、堂々と正妻の座を狙いにきてるわね」

美月は背もたれに寄りかかり、ふっと口角を上げた。

皮肉交じりの、それでいてどこか吹っ切れたような笑みだった。

若菜の誕生日のたびに、...

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