第105章

「泣き声はあの部屋からだわ、あの部屋よ!」

「早く! 合鍵を持ってきて」

すったもんだの末、三十分以上かかって、ようやくその空き部屋の扉が開いた。

扉が開いた瞬間、壁の隅にうずくまる陽菜の姿があった。小さく丸まり、髪は乱れ、顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだ。もう泣く力すら残っていないようだった。

扉の音を聞いて顔を上げ、付美月の姿を認めると、陽菜の唇が数回震えた。そして、ようやく途切れ途切れに一つの言葉を絞り出した。

「美月おばちゃん……ごめんなさい……私がいけなかったの……晴太くんを突き落としたりして……ごめんなさい……」

広間に、一瞬の静寂が落ちた。

香織の顔色は青ざめたり赤く...

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