第17章

薇々は美月の言葉に、怒りで全身をわななかせていた。

幼い頃から浅野家の令嬢としてちやほやされてきた。誰だって彼女の前では愛想よく振る舞う。

あの香織でさえ、いつも優しく穏やかに接してくれるというのに。こんな風に面と向かって罵倒されたことなど、ただの一度もなかった。

だからこそ、美月がタクシーを拾い、まさに乗り込もうとしたその瞬間――。

「美月、待ちなさいよ!」

令嬢としての体面もかなぐり捨て、彼女の背中に向かって金切り声を上げた。

美月の足がぴたりと止まる。

これでおしまいにしようと思っていたのに、どうやら薇々自身がそれを望んでいないらしい。

薇々は足早に駆け寄り、その腕を乱...

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