第19章

美月は立ち上がり、無意識に晴太を背後へ庇った。

「……何の話?」

「何の駆け引きのつもりだ、と聞いているんだ」

晴人が一歩、また一歩と距離を詰めてくる。革靴がフローリングを叩き、重苦しい音が響いた。

「香織にわざとデタラメなデータを渡して、クライアントの前で恥をかかせただろう。おかげで、森下社長は浅野グループとの取引を打ち切ると言ってきた」

「これで満足か?」

美月は呆然とした。

「森下社長? デタラメなデータって、何のこと?」

意味がわからない。あのクライアントなら、以前自分が一度引き留めたはずだ。それが今度はどうしたというのか。

「まだしらばっくれる気か」

晴人は冷笑...

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