第20章

電話の向こうが、ふっと静まり返った。

丸々五、六秒の沈黙。

「離婚?」いつもは低い樹の声が、ひどく上ずっている。「なんだって? 離婚? マジかよ?」

「本当よ」

「嘘じゃないだろうな?」

「嘘じゃないわ」

「本気なんだな?」

「ええ、本気よ」

樹はまた二秒ほど黙り込み、それから深々と息を吐き出した。

この唐突な知らせを、どうにか飲み込もうとしているらしい。

「……わかった」長い沈黙のあと、ようやく口を開いた樹の声は、いつもの素直じゃない響きを取り戻していた。「お前がそこまで言うなら、付き合ってやる」

「だが、先に言っておくぞ。また途中で投げ出したりしたら、絶対に許さない...

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