第52章

玄関からドアの開く音が聞こえた。

晴人が帰ってきた?

美月は顔を上げた。驚きを隠せないまま、ある声が耳に飛び込んでくる――

甘ったるく、わざとらしく甲高い、まるで甘える子猫のような声。

「浅野おじさん、おうちすっごくきれい!」

美月の指がぐっと力み、握っていた雑誌に皺が寄る。

その声には聞き覚えがありすぎる。

香織の娘、陽菜だ。

思考が追いつく前に、再びその声が響く。

「おじさん、晴太くんのおもちゃ部屋はどこ? 遊びたいな。うちにはないから、おもちゃ部屋で遊べる晴太くんがうらやましい!」

美月はベッドから勢いよく立ち上がった。

晴人の穏やかな声が聞こえる。

「おじさん...

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