第59章

ベイサイド・ヴィラ。

美月が先に帰宅していた。

ソファに腰を下ろしてしばらく経つが、あのミッドナイトパープルのドレスはまだ着替えていない。

背もたれに寄りかかり、目を閉じる。脳裏にはまだ晩餐会での出来事が渦巻いており、どこか現実離れしているように感じられた。

玄関からドアの開く音が聞こえた。

美月が目を開け、立ち上がろうとしたその瞬間、むせ返るような酒の匂いが押し寄せてきた。

晴人が玄関に立っていた。スーツのジャケットはどこへやったのか見当たらず、シャツの胸元はだらしなく二つほどボタンが外され、ネクタイも斜めに歪んでいる。

顔は異様に赤く、焦点の定まらない目をしている。足元もお...

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