第72章

個室は再び、死に絶えたような静寂に包まれた。

誰も口を開かず、身動き一つしない。ケーキに立てられたろうそくの炎すら、凍りついたかのようだ。

最初に我に返ったのは薇々だった。甲高く鋭い声が響く。

「美月、あんた何でたらめ言ってんのよ……」

薇々は、美月が晴人を蔑むことを誰よりも許せなかった。だからこそ、真っ先に噛みついたのだ。

美月は彼女を見ようともしない。

立ち上がり、その場にいる全員へ視線を滑らせる。若菜、昭雄、薇々、香織、陽菜、そして後ろに控える浅野家の面々。

「ここにいる誰が、こんな状況を受け入れられると言うんですか」

紡がれる一言一言が、釘のように冷たい空気へ打ち込ま...

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