第75章

香織はしゃがみ込み、娘の顔を両手で包み込むようにして、その引っかき傷をまじまじと見つめた。

頬骨から顎にかけて伸びる長い一筋の線が、暖かみのあるオレンジ色の照明の下でひどく痛々しく映る。

傷自体は深くなく、血も滲んでいない。だが、その白く柔らかな幼い顔に刻まれた赤い痕は、まるで真っ白な紙に落ちた墨の染みのように、嫌でも目を引いた。

彼女の指先が震えているのは、決して胸を痛めているからではない——

もちろん、心痛がないわけではない。自分の腹を痛めて産んだ愛娘なのだから、可哀想に思わないはずがない。

しかし、それ以上に彼女の心を占めていたのは、どす黒い憎悪だった。

美月というあの女。...

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