第90章

音楽は続いている。

ピアノの曲目が変わり、旋律が月光のように降り注ぎ、皆の肩へ静かに舞い落ちる。

晴太はフォークを握りしめて肉を刺し、口に運んだ。もぐもぐと二度ほど噛み、嬉しそうに目を細める。

もう一切れ刺すと、今度は自分の口ではなく、振り返って美月の口元へ差し出した。小さな手を、一生懸命に高く伸ばして。

美月は身を屈めてそれを一口で食べ、微笑みながら頭を撫でてやった。

晴太はさらに一切れ刺し、和也をちらりと見た。一秒だけためらい、やがて勇気を振り絞るように椅子から滑り降りる。テーブルを回り込んで和也のそばまで歩み寄り、フォークを高く掲げた。

和也は顔を伏せ、その肉をぱくりと咥え...

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