29。スウィート・テイスト・オブ・シン

エマラ・ストーン

ダコタ・ブラック。

私の上司、企業界の歩く恐怖そのものである彼が、私の目の前で膝をついている。

うそ……。信じられない……。

緑色の瞳が、重々しく私を見上げる。彼はまだ眼鏡をかけていて、CEO然とした雰囲気もそのままだ。なのに、何かがおかしい。

彼の瞳はひどく暗く、濃密に見えた。まるで誰かがその中の明かりを消してしまったかのようで、彼特有の底知れぬ闇をたたえたまま、私をじっと見つめている。

ダコタが深く息を吸うと、黒いシャツが彼の上腕二頭筋の周りで張りつめた。彼は手を伸ばし、私のスカートの裾を掴む。

そして、それをたくし上げ始めた。

息が喉に詰まる。彼...

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